お正月行事には色々ありますが、その終りに「七草粥を食べる」という風習があります。
1月7日は正月飾りを飾っておく期間である“松の内”の最終日であり、お正月最後の日とも言えます。
この日に七草粥を食べる理由は、ご馳走が続いて疲れている胃を休めるためというのはご存知だと思います。
ただし、野草のもつ生物毒を抜かないと逆効果になるのでご注意くださいね。
まずは七草粥がもつ素晴らしい効能から。
先人の知恵が詰まった健康食
七草粥の春の七草をすべてご存知ですか?
芹(せり)
効能:カルシウム、ビタミンBが豊富なので胃の調子を整え、食欲増進のほかに解熱、整腸、降圧作用があります。
意味:新芽がたくさん「せり」あって育つことから、競争に「競り勝つ」の意味。
薺(なずな)
効能:解毒や利尿作用があり、むくみなどにも良いと言われています。
意味:通称「ぺんぺん草」。
よく道端に生えているので、「ただの雑草」と思っている人も多いはず。でも実は、「なでて汚れをはらう」とされる縁起の良い食材なのです。
御形(ごぎょう)
効能:喉の痛みを和らげてくれます。
意味:ゴギョウは母子草(ははこぐさ)のこと。「仏様の体」をあらわすとも。
繁縷(はこべら)
効能:中国では古くから薬草として使われていました。七草の中でも効能が多く、利尿作用・止血作用・鎮痛作用をはじめ、歯槽膿漏の予防薬として使用されてきた歴史があります。
意味:「繁栄がはびこる」として縁起のよい植物とされます。
仏の座(ほとけのざ)
効能:食物繊維が豊富で食欲増進につながります。
意味:仏様が心やすらかに座っている様子。
鈴奈(すずな)
効能:蕪(かぶ)のこと。ビタミンC、デンプンの消化を助けるジアスターゼや食物繊維が豊富で、便秘解消に役立ちます。
意味:神を呼ぶ鈴
蘿蔔(すずしろ)
効能:大根のこと。風邪予防、消化不良や二日酔いにも良いとされています。
意味:汚れのない純白さ
七草には体にいい効果がこんなに含まれていたとは知りませんでした!
そんな七草粥は胃や腸に優しいだけでなく、一つ一つにしっかりと意味があり古くから食べられてきました。
まさに先人の知恵が詰まった健康食ともいえる七草粥ですが、由来について詳しく調べてみました。
なぜ1月7日なのか?
1月7日というのは、人日(じんじつ)の節句という五節句のひとつです。
五節句とは
1年に5回ある季節の節目の日。
1月7日・・・人日(じんじつ)の節句 日本では七草の節句の日
3月3日・・・上巳(じょうし)の節句 日本では桃の節句の日
5月5日・・・端午(たんご)の節句 日本では端午、または菖蒲(しょうぶ)の節句
7月7日・・・七夕(たなばた)の節句 日本では七夕、または笹(ささ)の節句
9月9日・・・重陽(ちょうちょう)の節句 日本では菊の節句
この日は、その季節の旬の植物からパワーをもらって邪気を払う日です。
なので、1月7日には、七草からパワーをもらって無病息災を願う日なのです。
由来は中国から
人日の節句は中国から伝わったもので中国では、元日は「鶏」、2日は「狗(犬)」、3日は「猪」、4日は「羊」、5日は「牛」、6日は「馬」、7日は「人」、8日は「穀」と、それぞれから新年の運勢を占い、それぞれの日には当てはめられたものを大切にする風習がありました。
人を大切にする「人日」の7日は、7種類の野菜を入れた「七種菜羹(ななしゅさいのかん)」という汁物を食べて無病息災を願うようになりました。
この風習は奈良時代に日本に伝わったといわれています。
当時、日本ではお正月に雪から出た若菜を摘んで食べ自然界から新しい生命をいただく「若草摘み」という風習がありました。
また、1月15日には7種類の穀類をお粥にして食べる習慣もありました。穀類とは、米・粟(あわ)・稗(ひえ)・黍(きび)・ミノ・胡麻・小豆です。
平安時代になると、中国の七種菜羹と若菜摘み、7つの穀類を食べる風習が結びつき、現代の「七草粥」の原型になったのです。
生物毒(アク)を抜かないと逆効果
生物毒は地球上に存在するほぼ全ての植物の根・茎・葉などに含まれており、植物たちが昆虫などの外敵から身を守るための防御策となっています。
毒が薬になる場合もあれば、単純に毒=アクになる場合もあります。
アク抜きの方法は素材によって違いますが、水にさらす、酢にさらす、レモン果汁をかける、塩ゆでなど。
料理の一つ一つの工程には意味があり、先人の知恵は素晴らしいと思います。
七草の場合は塩ゆでをしてくださいね。
年末年始はクリスマス、忘年会、仕事納めにお正月とご馳走が続きますよね。でもそんなとき七草粥を食べれば、疲れた胃腸も「ほっと」出来ると思います。
最近はスーパーで手軽に「七草セット」が売っていますね。お米からお粥を作ったほうが断然美味しいですが、冷ご飯を使えば簡単にできますよ。
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